旅行者が日本脳炎を発症するリスクは比較的低いですが、いったん発症すると高い確率で死亡したり後遺症が残ったりします。ワクチンを接種しておけば、生命を脅かすような症状が出る可能性は低くなります。
日本脳炎発生地域での滞在が1ヵ月以上になる場合、ワクチン接種をおすすめします。滞在が1ヵ月以内であっても、ウイルスが広まりやすい時期に発生地域に滞在する場合、感染リスクは高まります。田舎や田園地帯に長期間滞在したり、キャンプやハイキング、トレッキング、サイクリング、釣り、狩猟、農作業などの野外活動をしたり、空調設備や網戸、蚊帳がない宿泊施設に滞在せざるを得ない場合も予防接種を受けたほうがよいでしょう。
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皮膚を露出させない服を着たり、DEET成分30%以上の虫よけ剤を使用したりして蚊に刺されないことが大切です。インセクトシールド(メッシュ状の素材に忌避剤を染み込ませた防虫ウェア)などもあります。蚊が活発に活動する夜間に外出する際は特に注意が必要です。
日本脳炎ウイルスに感染した蚊に刺されると感染します。感染してもほとんどの場合、なにも症状は出ません。最も顕著な症状は急性脳炎です。無菌性髄膜炎や軽い発熱などが出る場合もあります。感染してから5~15日後に発熱や頭痛、嘔吐などの症状が現れます。発症してから数日間、精神状態の異常や局所的な神経障害、全身の脱力、運動障害がみられます。子どもの場合、痙攣を起こすこともあります。感染して発症した場合、致死率はおよそ20~30%です。死亡しなくても30~50%には、ひどい神経障害や認知障害、精神障害などの後遺症が残ります。
アジア地域と太平洋西部の一部で発生します。田園地帯で広まり、稲作水田地帯で多発します。アジアでは、都市部であっても水田が近い場所では日本脳炎が発生しています。気候が温暖な地域では夏と秋に最も多く発症します。亜熱帯や熱帯地方では雨季や灌漑作業状況により伝播期が長引いたり、一年中発生する場合もあります。